化学グランプリ -High School Chemistry Grand Prix-

2009年・大会概要

一次選考

2009年・全国高校化学グランプリポスター

日時

平成21年7月20日(月・祝)※時間は13:30~16:00の150分

会場

全国55会場

応募者

3224名

参加者

3078名

問題

問題, 解答用紙, 解説,

「解答例と解説」訂正について①(2009.07.22), 「解答例と解説」お詫びと訂正②(2009.10.27), 「解答例と解説」訂正について③(2009.11.09)

二次選考

日時

平成21年8月22日(土)・23日(日)

会場

京都大学吉田キャンパス他

参加者

81名

問題

問題, 解答用紙, 解説, 実験上の注意事項

表彰式

日時

平成21年9月26日(土)→詳細

『第40回国際化学オリンピックイギリス大会』参加報告会/『第42回国際化学オリンピック日本大会』代表候補認定式と併催

会場

日本化学会 化学会館 7階ホール

(東京都千代田区神田駿河台1-5)

講演会

井上晴夫先生「分子系包接環境と光機能発現

(首都大学東京 大学院都市環境科学研究科教授)

報告書

全国高校化学グランプリ2009報告書

全国高校化学グランプリ2009入賞者一覧(81名)

大賞 5名 賞状・副賞(ノートパソコン※)

2009年度 大賞受賞者
氏名ふりがな高校県名学校名学年性別
大賞

安田 真由美

やすだ まゆみ

兵庫県

白陵高等学校

3年

女性

大賞

鈴木 良平

すずき りょうへい

東京都

筑波大学附属駒場高等学校

3年

男性

大賞

塚田 滉

つかだ ひろむ

兵庫県

甲陽学院高等学校

3年

男性

大賞

中村 智輝

なかむら ともき

大阪府

大阪星光学院高等学校

3年

男性

大賞

笠浦 一海

かさうら かずみ

東京都

開成中学校

中3年

男性

金賞 17名 賞状・副賞(図書券1万円分)

2009年度 金賞受賞者
氏名ふりがな高校県名学校名学年性別
金賞

伊藤 俊

いとう すぐる

愛知県

愛知県立一宮高等学校

3年

男性

金賞

永澤 彩

えいざわ あや

兵庫県

白陵高等学校

3年

女性

金賞

遠藤 健一

えんどう けんいち

神奈川県

栄光学園高等学校

2年

男性

金賞

川端 健太

かわはた けんた

東京都

攻玉社高等学校

3年

男性

金賞

笹川 一

ささがわ はじめ

大阪府

大阪府立天王寺高等学校

3年

男性

金賞

笹倉 一志

ささくら かずし

大阪府

大阪星光学院高等学校

3年

男性

金賞

佐藤 誠修

さとう まさのぶ

北海道

北嶺高等学校

3年

男性

金賞

清水 健司

しみず けんじ

兵庫県

灘高等学校

3年

男性

金賞

白倉 大地

しらくら だいち

山梨県

山梨県北杜市立甲陵高等学校

3年

男性

金賞

多月 文哉

たつき ふみや

兵庫県

灘高等学校

3年

男性

金賞

林 峻

はやし しゅん

東京都

海城高等学校

3年

男性

金賞

原田 耕佑

はらだ こうすけ

東京都

開成高等学校

3年

男性

金賞

深田 由布子

ふかだ ゆうこ

三重県

三重県立四日市高等学校

3年

女性

金賞

峰岸 龍

みねぎし りゅう

静岡県

静岡県立清水東高等学校

1年

男性

金賞

山川 眞以

やまかわ まい

東京都

桜蔭高等学校

3年

女性

金賞

山口 航太郎

やまぐち こうたろう

東京都

東京工業大学附属科学技術高等学校

3年

男性

金賞

山崎 由佳

やまざき ゆか

東京都

桜蔭高等学校

3年

女性

銀賞 20名 賞状・副賞(図書券5千円分)

2009年度 銀賞受賞者
氏名ふりがな高校県名学校名学年性別
銀賞

青木 修伍

あおき しゅうご

兵庫県

六甲高等学校

3年

男性

銀賞

在原 美鈴

ありはら みすず

山梨県

山梨県立吉田高等学校

3年

女性

銀賞

石井 亮馬

いしい りょうま

千葉県

渋谷教育学園幕張高等学校

3年

男性

銀賞

石橋 龍

いしばし りゅう

兵庫県

灘高等学校

3年

男性

銀賞

犬塚 佑希浩

いぬづか ゆきひろ

静岡県

静岡県立清水東高等学校

3年

男性

銀賞

伊吹 博人

いぶき ひろと

京都府

京都府立嵯峨野高等学校

3年

男性

銀賞

大津 美南

おおつ みなみ

兵庫県

白陵高等学校

3年

女性

銀賞

大塚 貴裕

おおつか たかひろ

東京都

筑波大学附属駒場高等学校

2年

男性

銀賞

片岡 憲吾

かたおか けんご

東京都

筑波大学附属駒場高等学校

2年

男性

銀賞

桑原 祐也

くわはら ゆうや

愛知県

東海高等学校

3年

男性

銀賞

先山 慧

さきやま さとし

徳島県

徳島市立高等学校

3年

男性

銀賞

重田 晃輝

しげた こうき

広島県

広島学院高等学校

2年

男性

銀賞

菅澤 裕也

すがさわ ゆうや

熊本県

熊本県立済々黌高等学校

3年

男性

銀賞

世利 佳滉

せり よしひろ

兵庫県

白陵高等学校

2年

男性

銀賞

竹内 有哉

たけうち ゆうや

富山県

富山県立高岡高等学校

3年

男性

銀賞

冨原 良平

とみはら りょうへい

静岡県

静岡県立清水東高等学校

3年

男性

銀賞

野田 和弘

のだ かずひろ

広島県

広島学院高等学校

2年

男性

銀賞

林 佑樹

はやし ゆうき

東京都

東京学芸大学附属高等学校

3年

男性

銀賞

播金 優一

はりかね ゆういち

愛知県

愛知県立時習館高等学校

3年

男性

銀賞

山下 隼

やました しゅん

愛知県

愛知県立岡崎高等学校

3年

男性

銅賞 39名 賞状・副賞(図書券3千円分)

2009年度 銅賞受賞者
氏名ふりがな高校県名学校名学年性別
銅賞

伊藤 守

いとう まもる

東京都

早稲田高等学校

3年

男性

銅賞

岩嵜 諭嗣

いわさき さとし

三重県

三重県立津高等学校

3年

男性

銅賞

浦谷 浩輝

うらたに ひろき

滋賀県

滋賀県立膳所高等学校

1年

男性

銅賞

大石 竜輔

おおいし りゅうすけ

静岡県

静岡県立掛川西高等学校

3年

男性

銅賞

大岡 佳生

おおおか よしき

大阪府

大阪星光学院高等学校

3年

男性

銅賞

小田 望

おだ のぞむ

宮城県

宮城県仙台第二高等学校

3年

男性

銅賞

喜納 大貴

きな ひろき

沖縄県

昭和薬科大学附属高等学校

3年

男性

銅賞

栗原 沙織

くりはら さおり

北海道

北海道札幌西高等学校

1年

女性

銅賞

呉本 達哉

くれもと たつや

群馬県

樹徳高等学校

1年

男性

銅賞

小林 朝瑛

こばやし ともあき

東京都

開成高等学校

3年

男性

銅賞

齊藤 颯

さいとう はやて

兵庫県

灘高等学校

1年

男性

銅賞

田邉 好秀

たなべ よしひで

東京都

早稲田高等学校

3年

男性

銅賞

谷田 桜子

たにだ さくらこ

東京都

豊島岡女子学園高等学校

3年

女性

銅賞

千葉 潤

ちば じゅん

東京都

東京都立新宿山吹高等学校

3年

男性

銅賞

鶴岡 和幸

つるおか かずゆき

東京都

開成高等学校

2年

男性

銅賞

戸塚 大幾

とづか ひろき

鹿児島県

ラ・サール高等学校

3年

男性

銅賞

鳥居 萌

とりい めぐみ

東京都

創価高等学校

3年

女性

銅賞

中川 佳史

なかがわ よしふみ

兵庫県

灘高等学校

3年

男性

銅賞

長野 玄

ながの げん

兵庫県

灘高等学校

2年

男性

銅賞

中村 司

なかむら つかさ

兵庫県

灘高等学校

3年

男性

銅賞

難波 翔一朗

なんば しょういちろう

兵庫県

白陵高等学校

2年

男性

銅賞

野海 直子

のうみ なおこ

兵庫県

白陵高等学校

3年

女性

銅賞

延山 知弘

のべやま ともひろ

奈良県

東大寺学園高等学校

3年

男性

銅賞

橋谷 文貴

はしや ふみたか

京都府

洛南高等学校

3年

男性

銅賞

濱田 拓実

はまだ たくみ

東京都

創価高等学校

3年

男性

銅賞

林 研太朗

はやし けんたろう

兵庫県

灘高等学校

1年

男性

銅賞

林 達也

はやし たつや

兵庫県

白陵高等学校

3年

男性

銅賞

星野 翔太郎

ほしの しょうたろう

埼玉県

春日部共栄高等学校

3年

男性

銅賞

堀江 慧

ほりえ さとる

山口県

山口県立山口高等学校

3年

男性

銅賞

本郷 大悟

ほんごう だいご

神奈川県

神奈川県立光陵高等学校

3年

男性

銅賞

牧野 嵩人

まきの たかひと

兵庫県

白陵高等学校

3年

男性

銅賞

松本 弘樹

まつもと ひろき

奈良県

東大寺学園高等学校

3年

男性

銅賞

村岡 政哉

むらおか まさや

愛知県

愛知県立岡崎高等学校

2年

男性

銅賞

柳澤 渓甫

やなぎさわ けいすけ

東京都

東京都立青山高等学校

3年

男性

銅賞

山口 達也

やまぐち たつや

奈良県

西大和学園高等学校

3年

男性

銅賞

山本 英明

やまもと ひであき

富山県

片山学園高等学校

1年

男性

銅賞

吉田 篤史

よしだ あつし

大阪府

大阪府立大手前高等学校

3年

男性

銅賞

吉ノ薗 統音

よしのその とうね

熊本県

真和高等学校

3年

男性

銅賞

劉 霊輝

りゅう れいき

東京都

筑波大学附属駒場高等学校

1年

男性

全国高校化学グランプリ2009 大賞受賞者の声

化学グランプリと私の中高生活

白陵高等学校3年 安田 真由美

思えば、小学生の時、私が白陵中を志望校として最終的に選んだのも、この化学グランプリがきっかけでした。私が小6の時、白陵高校の2年生が国際化学オリンピックの代表に選ばれた、ということ(当時はそんなにはっきりと知っていたわけではありませんでしたが)を聞き、理科が好きだった私は、白陵に入学して化学部に入部しよう、と思いました。実際に入部してからは、高校生の先輩達に追いつきたいと思いながら勉強していましたが、そのうちに、オリンピックに行きたい、と漠然と思うようになりました。

高1の時は一次試験であっけなく散り、これが最後のチャンス、と意気込んで臨んだ昨年のグランプリでは、一次試験問題との相性が良く、まずまずの成績を収めることができました。しかし、肝心の代表選考で難問に対応しきれず、選考落ちしてしまいました。

高3になり、もう代表にもなれないのでほとんど惰性だけで受験することにした今回のグランプリでしたが、二次試験の会場が昨年とは違うということで、是非京大の実験室を使わせていただくために一次通過しなくてはと思い、海の日が近づくにつれ、意外と緊張してきました。そのせいか、一次試験では、友人にもあきれられるようなケアレスミスを連発し、適当に自己採点をしたところ二次試験に進めるかどうかすら危うい状況でした。

今年のグランプリの二次試験には、生物・化学・数学・物理の各分野で出会った人達もたくさん参加することがわかると、今度はそのことが化学部員である私にとってのプレッシャーとなっていました。しかし、いざ会場に入ってみると、知らない人ばかりで恐怖さえ感じた昨年とは違い、落ち着いて実験に取り組むことができました。かと言って、一次の結果を覆せるほどできたという感覚は全くなかったのですが、問題の易化などの要因が相まってか、大賞を受賞することができました。それだけに、今回の大賞受賞はとても嬉しく思っています。

しかし、これが終わりではない、ということも事実です。この二次試験では、私など到底及ばないような化学の知識や化学への愛の持ち主にたくさん出会いました。これは、言うまでもないことですが化学グランプリ以外にも様々な尺度があり、そういう尺度においては私は大賞には値しない、ということです。また、簡単な問題は解けても難しい問題になるとあまりできない、という、将来研究者を目指している私にとっては痛い現状も見えてきました。せっかくいい経験をさせていただいたので、これらの課題を忘れず、驕らず、精進していきたいです。化学グランプリに中高生活を翻弄された私らしい締めくくりになったかな、と思います。

ありがとうございました。

最後になりましたが、私が中学生の頃、いろいろと教えてくださった高校生の先輩方や化学部顧問の谷川先生、化学部で一緒に勉強してきたイギリス大会日本代表の永澤さんをはじめ、多くの方々に支えられてきたことを改めて実感しました。本当に感謝しています。

3年間の化学グランプリを通じて

筑波大学附属駒場高等学校3年 鈴木 良平

正直なところ、昨年の今頃は酸化還元反応すら理解していなかった私などがこんな賞を頂けるとは予想もしていなかった。何かの間違いではないのだろうか。今のところ訂正の連絡は来ていないが。

昨年までの2年間は、予選落ち・銅賞というパッとしない成績続きであったので、「大賞を取る人たちはすごいなー」などと漠然と思っていたのだが、実際に取ってしまうと呆気ないものである。

化学グランプリとの三年間の付き合いは、予想しなかったほどに多くのものを私にくれた。

無論今回の大賞受賞というのもそうなのだが、もっと重要なのは、これまで適当に接してきた化学という学問に対して初めて真面目に向き合う機会を設けてくれたということであり、もっと大切なのは、化学グランプリを通じてたくさんの友人を得られたということである。

前者について言えば、そもそもIChOに参加したい一心で受験した化学グランプリであるから、代表選考に向けての学習は、自身の欲望のために化学に全力を傾けるという非常に貴重な経験となった。

動機こそ不純であれ、ある学問に対して脇目も振らず取り組んだこの経験は、今後何の道に進むにせよ必ずや糧となるものだと思うし、結果として代表となる夢は叶わなかったけれども、満足感や充実感を生むには十分すぎる体験を得られた私は幸せ者である。

後者についてはもはやわざわざこういうことである、などとは言うまでもないことであろう。特に今年の大会では多くの参加者と互いに初対面であるにもかかわらず、まるで長年同じ学校で時間を過ごした者同士修学旅行に来たかのように打ち解けあい、様々な話をできた。春合宿の夜に罰ゲームを設定しながらしりとり等の他愛もない遊びに没頭したのも懐かしい。彼らとの関係はこれから決して消えるものではないと思うし、是非今後ともよろしく願いたい。

さて、日本には山ほど、化学やその他学問に強い興味のある中高生がいると思う。そうした後輩諸君は、是非とも何の遠慮も躊躇もせず、ひとまずこういった大会を受験してみてほしい。良い結果が出るかは運や力量次第であるし、もしかしたら自信を失うことに繋がるかもしれない。それでも、大会への参加経験が君たちにもたらすものの大きさは計り知れず、参加して後悔することより参加せずに後悔するケースの方が圧倒的に多い事は保証できる。何よりも、こういった学生のうちにしか得られない楽しい機会は何だって掴む姿勢で、学生生活を積極的に楽しんでほしいのだ。

最後に、化学グランプリの実行委員会の皆さん、3年間本当に色々とお世話になりました。何か私にお役に立てることがあれば、今後の化学グランプリに貢献できればなと思っています。

高校3年間と化学

甲陽学院高等学校3年 塚田 滉

大賞を頂き、ありがたく思います。お世話になった先生方にも、感謝しても感謝しきれないほどです。思えば、私の高校3年間は、化学グランプリと大きく関係しています。

1年生の春、化学部顧問の先生から化学グランプリのチラシを貰い、どんな難問かわくわくした時、関係は始まりました。そして思いもよらず化学オリンピック代表候補に選ばれ、大学レベルの化学の教科書を沢山頂き、アドバイザーの先生にも時間を割いて頂きました。恥ずかしいことですが、あまり勉強熱心ではなかったので、完全に有効活用できたとはいえませんでしたが、確実に私は何らかの影響を受けました。

続く2年の時にも、代表候補となり、その結果は残念でしたが、選考合宿で撮った写真は私の宝物の1つとなりました。そして今年、高校3年間の締めくくりとして、悔いは残らないとは言いませんが、区切りはついたと言えるでしょう。

さて、高校3年生というのは人生の1つの岐路です。ひとまずは大学に進学し、もっと勉強したいと思いますが、その先の未来は、まったく見えません。ただ、私は科学に限らず、もっと知らねばならないと思います。私はこれから、色々な所に行き、様々な経験をするでしょう。しかし、その広さはこの地球上のごく僅かな一部分に過ぎません。その地球も、他の星からは見えもしない小さな惑星です。私の一生は、人類の歴史のごく僅かな一部となるでしょう。その人類の歴史もやはり宇宙の時間と比べればほんの一瞬に過ぎないでしょう。私は、この宇宙と比べ、自身がいかにほんの一瞬、ほんの一片に過ぎないかと思うと、ぞっとする気分がします。さらに宇宙の外側にまで思いを馳せると、それは想像すらできません。

一方、科学はこの宇宙のどこまでも通じる力を持っています。宇宙の始まりを解き明かし、宇宙の果てまでも知ろうとしているのです。また、微細な構造をもって、世界の仕組みを説明しようとしているのです。しかしながら、本当は、科学も宇宙の深淵に対し、無力なのではないか、とも思うのです。今絶対だと信じられていようとも、例えば異星人がまったく発想を異とする科学をもたらすかもしれませんし、地球人でもコペルニクス的転回はあるのですから。

それは別としても、宇宙の神秘の前に人間そのものがあるはずです。目の前にある人間そのものを知らずして、宇宙の神秘に何の意味があろうか、とも思うのです。

まだ私は、科学の入り口を目指しているに過ぎないのですから、これからも科学に邁進していきたいと思います。一方では、科学を超えるものをも見つけたいのです。それ以上に、考える喜び、知る喜びというだけで、私は科学の道を歩もうとしています。

化学グランプリに参加して

大阪星光学院高等学校3年 中村 智輝

今回の化学グランプリは昨年に続き2回目の参加でした。昨年は二次に行けたまでは良かったのですが、慣れない実験に圧倒され、それを引きずったままあっという間に終わってしまったように思います。結果、銅賞に甘んじることになりました。中でも、一次選考の大問4つと二次選考のどの成績も二次進出者平均を切っていたことにショックを受けました。というわけで今回は二次進出者の平均越えを目標にして、あわよくば大賞なんかも…と思っていたら、本当に大賞取っちゃいました。こんなこともあるもんなんですねえ。

とはいうものの僕自身は去年の化学グランプリを受ける以前は化学よりも数学に興味を示していました。化学はそこそこの成績はとれるものの、単なる一科目にすぎませんでした。しかし化学グランプリやその後のオリンピック代表候補用に配布された参考書等を通じて、高校化学では知りえることのなかったいろいろな現象や理論が僕の知的好奇心を刺激してくれました。そして今回の受賞で化学がますます好きになり(笑)、このまま将来も化学研究ができたらなあと思います。

これから化学グランプリを受ける皆さんへ。このグランプリは年々参加者が増えており、それとともに一次選考突破のハードルも高まっています。しかしもし二次に進出できなくても、このグランプリに参加する意義は多大にあると思います。一次選考の問題は実際に大学等で研究されている高度なものを題材としているので、きっとあなたの化学への興味を増してくれるでしょう。しかも電卓のおまけつき。そして二次選考へ進出した人へは、どこかの予備校みたいですが、一つアドバイスを:

「とりあえず何か書こう」

やはり二次選考は全国から80人ほどの精鋭たちを集めて行われるわけですから、問題のレベルも決して易しいものではありません。しかし、だれかが同じこと言ってそうですが、まず書かないとどうにもなりません。思いついたことをどんどん書いていけば、案外正解に近しいものもあったりします。もちろん問題を深く読み解いたうえでのことですが。僕自身はレポートの全てのページを満遍なく埋め尽くしました。その結果、どうやら二次選考で逆転して大賞に滑り込んだようです。というわけでこのアドバイスも少しは現実味のあるものではないでしょうかね。

最後に、僕の実験スキルとレポート作成力の向上を手助けしてくださった本校化学科で、このグランプリにおいてもなかなかの地位にいるらしい田中先生に感謝したいと思います。そして今の僕を形成してくれたすべての人と化学に、ありがとう。

結局夏休みの宿題は終わらず

開成中学校3年 笠浦 一海

このような賞をいただいて光栄に思う。で、化学グランプリ二次選考1日目も大賞受賞の発表直後も夏休みの宿題の話をしたので、まずはその話からする。化学グランプリ二次選考後、すぐに理化学部の合宿等があり4日間しか時間がなかった。その間に数学と英語を終わらせ、残りの科目も読書感想文を除いてなんとか期限以内に提出することができた。が、読書感想文のほうは9月13日現在、まだ終わっていない。しかしながら、この宿題の期限は「二学期最初の授業。遅くとも9月末まで」というよく分からない二重期限なので、そこまでには間に合うようにしたい。

化学グランプリと関係ない話が長くなってしまった。さて、私が化学グランプリに出たきっかけであるが、これは顧問であるチャーリー宮本先生の強制である。化学グランプリなんて高校生の大会で自分には関係ないと思っていたら、今年から中学生の参加が可能になったらしく、有無を言わさず参加させられた。開成学園理化学部に中三は4人いるのだが、1人はハンドボールの試合、1人は親戚そろっての食事会のため出られず(化学グランプリの優先順位低いな!)、実際に参加したのは2人。で、二次選考に進出したのは私1人だった。と思っていたら、全国で中学生は私1人だったようだ。そんなわけで周りは先輩しかおらず、同学年の競争相手がいなかったおかげで、かえってリラックスして実験に臨めた。それが良い結果に結び付いたのだろう。もともと自分は上記の記述でもわかるように計画性とは無縁の人で、実験も無計画に始めていたので、実験の量が少なかったことも幸いした。

私が化学の勉強を始めたのはひょんなことからだった。小学生のころはそこまで化学に興味があったわけではなく、むしろ数学が好きだった。だから、開成に入り入部する部も、数学研究部にすることにした。ただ、数学研究部は活動日が月曜日と木曜日しかないため、他の部と兼部することにした。そこで調べてみると、理化学部の活動日が火曜日、水曜日、金曜日、土曜日とある。そこで理化学部に入り化学を学ぶことにした、というわけである。そして今までずっと理化学部と数学研究部を兼部している。入賞を狙っていたJJMO(日本ジュニア数学オリンピック)では入賞を逃したのに、無理に出場させられた化学グランプリで大賞をとるとは、人生何が起こるか分からない。ちなみに数学研究部の同級生には中二のときにJOI(日本情報オリンピック)で銅賞を受賞した(JOIの入賞者は少なく、そのときは金賞3名、銀賞1名、銅賞1名であった。副賞はいずれもノートパソコン)村井君もおり、なぜか数学以外で数学研究部が活躍している。

私が入部したときの理化学部は(今もそうだが)お世辞にもまじめとは言えない感じであったが、中一教育は行った。中一教育自体は中途半端なところで終わってしまったが、それのもととした『化学Ⅰ・Ⅱの新研究』という参考書を紹介され、それを読んで化学を独習した。

先述の村井君は、2009年のIOI(国際情報オリンピック)出場を逃し、2010年のIOIカナダ大会出場に向けて努力している。私もビギナーズ・ラックと言われぬよう、これから化学オリンピック日本大会出場に向けて努力していかなければ。

主催:
「夢・化学-21」委員会, 公益社団法人日本化学会
共催:
独立行政法人科学技術振興機構, 高等学校文化連盟全国自然科学専門部, 名古屋大学(※二次選考)
後援:
文部科学省