一次選考
二次選考
表彰式
- 日時
-
平成20年9月27日(土)→詳細
『第40回国際化学オリンピックハンガリー大会』参加報告会/『第41回国際化学オリンピックイギリス大会』代表候補認定式と併催
- 会場
-
日本化学会 化学会館 7階ホール
(東京都千代田区神田駿河台1-5)
- 講演会
-
加藤隆史先生「新しい液晶材料をつくる」
(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻教授)
- 報告書
全国高校化学グランプリ2008 入賞者一覧(80名)
大賞 7名 賞状・副賞(ノートパソコン※)
賞 | 氏名 | ふりがな | 高校県名 | 学校名 | 学年 |
---|---|---|---|---|---|
大賞 | 鈴木 裕太 | すずき ゆうた | 宮城県 | 宮城県仙台第二高等学校 | 3年 |
大賞 | 足立 精宏 | あだち きよひろ | 東京都 | 筑波大学附属高等学校 | 3年 |
大賞 | 来見田 遥一 | くるみだ よういち | 神奈川県 | 神奈川県立多摩高等学校 | 3年 |
大賞 | 馬場 皆人 | ばば みなと | 東京都 | 海城高等学校 | 3年 |
大賞 | 小澤 直也 | おざわ なおや | 東京都 | 駒場東邦高等学校 | 2年 |
大賞 | 矢部 顕大 | やべ あきひろ | 東京都 | 開成高等学校 | 3年 |
大賞 | 井手野 泰久 | いでの やすひさ | 大阪府 | 大阪府立大手前高等学校 | 3年 |
金賞 17名 賞状・副賞(図書券1万円分)
賞 | 氏名 | ふりがな | 高校県名 | 学校名 | 学年 |
---|---|---|---|---|---|
金賞 | 福島 正哉 | ふくしま まさや | 富山県 | 富山県立富山中部高等学校 | 3年 |
金賞 | 田中 晋太朗 | たなか しんたろう | 石川県 | 石川県立金沢泉丘高等学校 | 3年 |
金賞 | 中田 拓見 | なかた たくみ | 広島県 | 広島学院高等学校 | 3年 |
金賞 | 松川 滉 | まつかわ こう | 東京都 | 駒場東邦高等学校 | 3年 |
金賞 | 中條 淳博 | なかじょう あつひろ | 奈良県 | 東大寺学園高等学校 | 2年 |
金賞 | 下川 隆一 | しもがわ りゅういち | 東京都 | 攻玉社高等学校 | 3年 |
金賞 | 谷 恭平 | たに きょうへい | 愛知県 | 東海高等学校 | 3年 |
金賞 | 松本 周晃 | まつもと ひろあき | 広島県 | 広島学院高等学校 | 3年 |
金賞 | 金久保 祐介 | かなくぼ ゆうすけ | 茨城県 | 常総学院高等学校 | 3年 |
金賞 | 安田 真由美 | やすだ まゆみ | 兵庫県 | 白陵高等学校 | 2年 |
金賞 | 新家 和真 | にいのみ かずま | 愛知県 | 愛知県立岡崎高等学校 | 3年 |
金賞 | 阿部 達也 | あべ たつや | 秋田県 | 秋田県立横手高等学校 | 3年 |
金賞 | 濱崎 真夏 | はまざき まなつ | 神奈川県 | フェリス女学院高等学校 | 3年 |
金賞 | 古橋 正樹 | ふるはし まさき | 三重県 | 高田高等学校 | 3年 |
銀賞 19名 賞状・副賞(図書券5千円分)
賞 | 氏名 | ふりがな | 高校県名 | 学校名 | 学年 |
---|---|---|---|---|---|
銀賞 | 松井 大祐 | まつい だいすけ | 大阪府 | 大阪星光学院高等学校 | 3年 |
銀賞 | 福田 朝 | ふくだ はじめ | 東京都 | 筑波大学附属駒場高等学校 | 2年 |
銀賞 | 鈴木 健一郎 | すずき けんいちろう | 愛知県 | 愛知県立一宮高等学校 | 3年 |
銀賞 | 橋本 大樹 | はしもと だいき | 愛知県 | 愛知県立一宮高等学校 | 3年 |
銀賞 | 山崎 高寛 | やまざき たかひろ | 宮城県 | 宮城県仙台第二高等学校 | 3年 |
銀賞 | 竹田 大樹 | たけだ だいき | 石川県 | 石川県立金沢泉丘高等学校 | 3年 |
銀賞 | 原田 耕佑 | はらだ こうすけ | 東京都 | 開成高等学校 | 2年 |
銀賞 | 高木 雅 | たかぎ まさる | 大阪府 | 大阪府立大手前高等学校 | 3年 |
銀賞 | 辻 俊輔 | つじ しゅんすけ | 大阪府 | 大阪星光学院高等学校 | 3年 |
銀賞 | 子安 秀昇 | こやす ひでのり | 愛知県 | 愛知県立一宮高等学校 | 3年 |
銀賞 | 斉藤 由樹 | さいとう ゆうき | 山梨県 | 駿台甲府高等学校 | 3年 |
銀賞 | 森永 哲成 | もりなが あきなり | 福岡県 | 東福岡高等学校 | 3年 |
銀賞 | 高橋 純平 | たかはし じゅんぺい | 兵庫県 | 灘高等学校 | 3年 |
銀賞 | 江口 基紀 | えぐち もとき | 石川県 | 石川県立金沢泉丘高等学校 | 3年 |
銀賞 | 遠藤 健一 | えんどう けんいち | 神奈川県 | 栄光学園高等学校 | 1年 |
銀賞 | 伊藤 俊 | いとう すぐる | 愛知県 | 愛知県立一宮高等学校 | 2年 |
銀賞 | 吉田 裕治 | よしだ ゆうじ | 兵庫県 | 灘高等学校 | 1年 |
銀賞 | 塚田 滉 | つかだ ひろむ | 兵庫県 | 甲陽学院高等学校 | 2年 |
銀賞 | 来山 拓海 | きたやま たくみ | 神奈川県 | 神奈川県立横浜翠嵐高等学校 | 3年 |
銅賞 40名 賞状・副賞(図書券3千円分)
賞 | 氏名 | ふりがな | 高校県名 | 学校名 | 学年 |
---|---|---|---|---|---|
銅賞 | 荒井 篤 | あらい あつし | 大阪府 | 大阪星光学院高等学校 | 3年 |
銅賞 | 大橋 和也 | おおはし かずや | 愛知県 | 愛知県立一宮高等学校 | 3年 |
銅賞 | 梶原 健 | かじわら けん | 東京都 | 東京学芸大学附属高等学校 | 3年 |
銅賞 | 松本 弘樹 | まつもと ひろき | 奈良県 | 東大寺学園高等学校 | 2年 |
銅賞 | 小林 朝瑛 | こばやし ともあき | 東京都 | 開成高等学校 | 2年 |
銅賞 | 高木 彰文 | たかぎ あきふみ | 群馬県 | 群馬県立桐生高等学校 | 3年 |
銅賞 | 永澤 彩 | えいざわ あや | 兵庫県 | 白陵高等学校 | 2年 |
銅賞 | 高村 建人 | たかむら けんと | 山梨県 | 山梨県立吉田高等学校 | 3年 |
銅賞 | 石崎 英治 | いしざき えいじ | 東京都 | 創価高等学校 | 3年 |
銅賞 | 石橋 龍 | いしばし りゅう | 兵庫県 | 灘高等学校 | 2年 |
銅賞 | 春日井 大介 | かすがい だいすけ | 愛知県 | 東海高等学校 | 3年 |
銅賞 | 桐原 亮平 | きりはら りょうへい | 山梨県 | 山梨学院大学附属高等学校 | 3年 |
銅賞 | 片岡 憲吾 | かたおか けんご | 東京都 | 筑波大学附属駒場高等学校 | 1年 |
銅賞 | 佐藤 誠修 | さとう まさのぶ | 北海道 | 北嶺高等学校 | 2年 |
銅賞 | 西川 知里 | にしかわ ちさと | 三重県 | 高田高等学校 | 3年 |
銅賞 | 鈴木 良平 | すずき りょうへい | 東京都 | 筑波大学附属駒場高等学校 | 2年 |
銅賞 | 伊吹 博人 | いぶき ひろと | 京都府 | 京都府立嵯峨野高等学校 | 2年 |
銅賞 | 笹川 一 | ささがわ はじめ | 大阪府 | 大阪府立天王寺高等学校 | 2年 |
銅賞 | 原 萌 | はら めぐみ | 山梨県 | 駿台甲府高等学校 | 3年 |
銅賞 | 椋田 悠介 | むくた ゆうすけ | 東京都 | 麻布高等学校 | 3年 |
銅賞 | 徳永 泰介 | とくなが たいすけ | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 3年 |
銅賞 | 請川 智哉 | うけがわ ともや | 愛知県 | 愛知県立一宮高等学校 | 3年 |
銅賞 | 田辺 健児 | たなべ けんじ | 東京都 | 創価高等学校 | 3年 |
銅賞 | 藤原 慎一 | ふじわら しんいち | 兵庫県 | 兵庫県立八鹿高等学校 | 3年 |
銅賞 | 石田 真一郎 | いしだ しんいちろう | 広島県 | 広島学院高等学校 | 3年 |
銅賞 | 木田 悠歩 | きだ ゆうほ | 東京都 | 麻布高等学校 | 3年 |
銅賞 | 古川 孝太郎 | ふるかわ こうたろう | 岐阜県 | 岐阜県立岐阜高等学校 | 3年 |
銅賞 | 二宮 良 | にのみや りょう | 鹿児島県 | ラ・サール高等学校 | 3年 |
銅賞 | 重田 晃輝 | しげた こうき | 広島県 | 広島学院高等学校 | 1年 |
銅賞 | 矢野 洋祐 | やの ようすけ | 愛媛県 | 愛媛県立松山西中等教育学校 | 3年 |
銅賞 | 遠山 龍 | とおやま りゅう | 東京都 | 麻布高等学校 | 3年 |
銅賞 | 中村 智輝 | なかむら ともき | 大阪府 | 大阪星光学院高等学校 | 2年 |
銅賞 | 河田 大輔 | かわた だいすけ | 奈良県 | 東大寺学園高等学校 | 3年 |
銅賞 | 石神 宥真 | いしがみ ゆうま | 大阪府 | 千里国際学園高等部 | 3年 |
銅賞 | 大瀧 和紀 | おおたき かずき | 東京都 | 麻布高等学校 | 3年 |
銅賞 | 寺岡 晃一 | てらおか こういち | 福岡県 | 北九州工業高等専門学校 | 2年 |
銅賞 | 鳥居 萌 | とりい めぐみ | 東京都 | 創価高等学校 | 2年 |
銅賞 | 野元 彰 | のもと あきら | 鹿児島県 | ラ・サール高等学校 | 3年 |
銅賞 | 中川 佳史 | なかがわ よしふみ | 兵庫県 | 灘高等学校 | 2年 |
銅賞 | 越智 裕紀 | おち ひろのり | 愛媛県 | 愛媛県立松山東高等学校 | 2年 |
全国高校化学グランプリ2008 大賞受賞者の声
全国高校化学グランプリから始まる1年の夢
ほんの1年前にこの全国高校化学グランプリに参加させていただいてから、本当に色々なことがあったなぁと、感慨深く思い返しているところです。豪華な副賞を目当てに2ヵ年計画で参加を申し込んだこと、一次選考で落選の結果通知が届いたこと、身に覚えの無い化学オリンピック代表候補内定を知らせる怪しいメール。昨年のグランプリ表彰式・代表候補認定式では、諸先輩方の輝かしい成績に気後れしたのを覚えています。
それから参考書を頂いて、気の向くままに化学を勉強させて頂きました。当時の自分は数学にすっかり入れ込んでいたし、化学部にも所属していなかったので、化学をあまりよく知っているわけではありませんでした。それで、このときに高校程度を超えてもっと踏み込んだ化学を勉強して、化学の基礎的な部分を知ったことで改めて化学に興味をもつことになりました。特に面白いと思ったのは有機の反応機構や化学熱力学で、これらはちょうど昨年のグランプリ一次でもテーマになっていました。試験場ではほとんど解けなかったのですが、一通り学習してから振り返ってみると、グランプリの問題が高いレベルの(オリンピックに向けては必須の)化学への親切な入り口になっていることにも気付きました。
3月に代表として選抜され、実験の訓練も含めて化学にどっぷり浸かることになりました。実をいえば、いまだに液体の入った容器を持つと、無意識に攪拌しようとしていることがあります。
7月のハンガリー大会から帰国し、ゆっくりと甲子園をテレビ観戦して一段落ついたころに迎えたのが、初めてのグランプリの二次選考でした。オリンピックでの実験試験の経験もあり、なんとか二次選考を無難に終えることができましたが、正直なところ、それほど自信はありませんでした。
ところが結果として、私は大賞を頂くことができました。つい1年前には二次選考に進むことができませんでしたが、この1年間で、多くのことを経験させていただき、その集大成として結果が出せたことは、本当に嬉しい限りです。
さて、かつて私がグランプリの実施報告書を頂いた際、グランプリで大賞を受賞した先輩の文章を読んだ時には、自分が代表に選ばれるだとか、まして同じような立場で文章を書くことになるとは夢にも思いませんでした。今、これを読んでくださっている方で、次回以降のグランプリに参加するチャンスのある方も、「まさか自分が」と多くの方が思っているでしょう。でも、思うに、この全国高校化学グランプリから得られるかもしれない貴重な経験は、そうして遠ざけてしまうにはあまりにもったいないものではないでしょうか。今、こうしてグランプリを知ったこと自体が、非常に喜ばしい幸運に違いありません。
最後になりますが、このような素晴らしい機会を与えてくださった全ての関係者の皆様にお礼を申し上げて、筆を置かせていただきます。
Windows98からVistaへ
パソコンが新しくなった。正直戸惑った。たった10年間でパソコンの性能というものはこんなにも変わってしまうものなのか。今までの貰い物のパソコンはメモリが128MBしかなく、フリーズしてばかりだった。いろいろな物質をWikipediaで調べようとしても、表示されるまでに何分もかかった。YouTubeでアルカリ金属と水の反応の動画を見ようとしても、うまく再生できなかった。ところが、副賞として頂いた新しいパソコンでなら、それがたやすくできてしまう。今やインターネットを通じてあらゆる情報がパソコンの操作一つで容易にできる時代となった。
しかし、このように一見万能のように思えるパソコンにもできないことがある。五感すべてを通して感じられる実験のあの感覚、あの面白さ、あの感動は、決してパソコンの画面の向こう側の者には伝わらないだろう。アンモニアや酪酸の鼻を突く強烈な臭い、塩酸や硫酸の辛味と塩味の入り混じったような刺激的な味、ナトリウムやカリウムを切った時のあの何とも言えない軟らかさは、実際に経験した者にしかわからないだろう。これらの魅力がさらに僕を化学へと惹きつけるのである。その魅力を感じつつ、あらゆる失敗や苦難を乗り越えて実験が成功した時は、喜びも一入である。
今回の化学グランプリの二次試験の対策として、夏休み中に学校でいくつかの実験をさせていただいた。例えば、ナトリウムイオンからビスマス(Ⅲ)イオンやアンチモン(Ⅲ)イオンに至るまで23種類の陽イオンの定性分析をしたが、そのさまざまな沈殿の色は今も忘れられない。Fajans法による塩化物イオンの定量分析のときのフルオレセインの美しい黄緑色の蛍光は今でも僕の心の中に強く残っている。携帯電話の中に収めたこの時の写真を見ると、その感動が苦労とともに鮮やかに蘇ってくる。実験中心の日々の授業を通して僕たちにこのようなたくさんの感動の機会を与えてくださり、その上、夏休み中にまでも指導してくださった本校化学科の古寺先生、そして化学グランプリという、化学に正面から向き合える素晴らしい機会を設けてくださったすべての関係者の方々に、この場を借りて深く御礼申し上げたい。
さて、先日、本校でとある実験講座(講師:内山聖一先生)が開かれた。高分子化合物を利用した蛍光性温度センサーの合成だった。1時間ほどかけて、目的のセンサーが得られた。その溶液を温めてブラックライトの怪しげな光にかざすとそれは黄緑色の蛍光を発した。するといつものように化学の魅力が襲ってきた。そのほんのり明るい光に僕は心を奪われた。また少し、化学が好きになった。
高校化学グランプリに参加して
今回の大会ではこのような賞が取れて本当にうれしく思います。大会には高校1年生のときから出ていますが賞を取れたこと自体が初めてだったのでとても驚きました。
大会では二次試験の合宿がとてもよい経験になりました。実験は化学を学ぶ上で重要なことですがあまりやる機会がありませんでした。高校の先生に協力していただいて少し練習することはでき、また今回の内容が滴定で2回ほどしたことがあったためうまくいったと思います。そして試験以外にも全国の高校生と交流することができそれもいい経験になりました。一次試験の筆記は受験化学と違い十分な時間の中、化学的な思考力を試される問題で興味の持てる分野もあり、テストですが受験勉強と違い楽しくといていくことができるようないい問題だったと思います。
化学を勉強していく中で一番感じたことは、化学だけを勉強すればいいのではなく周りの分野の重要性です。物理・生物・地学・数学などを学ぶことにより相互に理解を深めることができました。さまざまな方向から自然科学というものを考えることにより自然というものはどのように成っているのか自分なりの理解が持てると思っています。ですが、最近の傾向として高校のカリキュラムが受験に偏った編成に変わりつつあり、いわゆる大学受験勉強のための高校の時間割になっていきそうなのがとても残念に思います。自分は生物部・地学部(部員募集中です!!)ということでそちらの面からも化学に触れることができました。特に自分は生化学・分子生物学に興味があり、化学・生物両方を勉強することで、よりよい理解を深めることができました。表彰式の講演などを聞いていく中で、科学の分野の内容をわかりやすく人に伝えることも重要だと感じました。そのためには自分の苦手な文章力・表現力、細かく言えば声や表情などの訓練も必要になってくると思いました。大学ではそのようなことも学びたいです。
最後に、協力していただいた理科等の先生方、そしていろいろ影響を与えてくれた部活の先輩方、同級生、後輩にはとても感謝しています。本当にありがとうございました。
全国高校化学グランプリに参加して
化学グランプリのホームページを偶然にも参加申し込みの締め切り日に見つけて、高校生活の最後の記念にという軽い気持ちで申し込んだような私が、結果として大賞を頂き、非常に驚いています。
一次選考の問題は、解いていく過程で新しい知識を得られて、また、題材も興味深いものが多く楽しめるものでした。化学とは無縁だった私にとって、一次選考通過は予想外のことで、化学実験なんて学校で数回しかやったことはなく、不安に思っていましたが、実験に関しては丁寧な説明があり、杞憂でした。二次選考では、周りが着々と実験を始める中で、私は実験の見通しを立てるのに40分も費やしたり、予想通りの結果が出ずに悩んだりと、あまり経験したことのない、思考力を使う課題に悪戦苦闘しましたが、得られる達成感は大きく、240分はあっという間でした。
この大会が合宿形式であるおかげで、多くの友達を得ることができ、化学に関する話題に限らず、夜遅くまで話し込んでいました。翌日の東大の研究室見学では、最先端の化学研究の話を聞くこともでき、非常に充実した二日間でした。将来は研究職に就きたいと考えている私にとってこの大会への参加はいい刺激になりました。
最後に、素晴らしい機会を与えてくださった大会関係者の方々、忙しい中で実験練習を手伝ってくださった先生方、受験生であるにもかかわらず実験練習に付き合ってくれたT君、ありがとうございました。そして、化学グランプリを知った方は、ぜひ挑戦してみてください!きっと化学の面白さを感じられるはず。
二度の化学グランプリに参加して
2000人以上の化学好きの人が参加した化学グランプリ、その最高峰である大賞をいただけたことを光栄に思います。化学グランプリに参加したのは今年が2度目。昨年は銀賞でした。1年間化学オリンピックへ向けて勉強してきた成果を実感できたことがなにより嬉しいです。
化学グランプリに出会ったのは、一昨年中学3年の夏。所属していた化学部の顧問の先生に「一次選考の問題を解いてみないか?」と声をかけていただいたのがきっかけでした。
有機化学の知識が皆無だった僕に、貸してくださったのが高校教科書化学Ⅰ。読んだものの、有機化学には興味を全く持てず、近寄り難い分野になってしまいました。そして、化学グランプリの問題と格闘。知識量を問う問題ではなく、化学の最低限の知識しかなくても、問題文の誘導に従って考え抜くだけで解けるという楽しさを味わうことができました。本参加できる高校1年の夏を心待ちにしました。
高校1年で挑戦した昨年の化学グランプリ。一次選考は大問4題に試験時間の1/5ずつをかけ、残り1/5の時間でできなかった部分に戻るという時間配分で臨みました。好奇心をくすぐる問題ばかりで、問題文にマーキングしながら注意深く論理を追っていきました。しかし、有機化学の問題では、途中で論理が反転しているように思えて、迷路で迷ったような状態に陥ってしまいました。その結果、有機化学の得点は二次選考参加者中最低点でした。また、二次選考直前は、有機化学の実験だったら何もできずに終わってしまうかもしれないと憂鬱でした。運よく問題には恵まれましたが、翌日の解説を伺って、初歩的ミスに気づきました。
それでも、オリンピック代表候補として化学を勉強する機会をいただきました。化学会からいただいた参考書の1冊「マクマリー有機化学概説」は、それまでの有機化学に対する認識を180度転換してくれました。
そして今年、化学オリンピック参加を経て、化学グランプリに再挑戦。経験と知識が増えたため、一次選考の問題の誘導部分は軽快に読み進めていくことができました。二次選考でも自信を持って実験に臨めました。昨年同様一泊の合宿形式でしたが、今年の方が同学年の参加者が多かったので、打ち解けて交流できました。
これから参加する皆さんへ
化学グランプリでは、化学の面白さに出会え、二次選考に進めば、地域や学年を超えて化学好きな人たちと交流もできます。見聞を広めるよい機会です。是非化学グランプリを楽しんでください。
最後になりましたが、化学グランプリ関係者の皆様、このような貴重な経験をさせていただきありがとうございました。
化学グランプリを経て得たもの
この化学グランプリで得た最大のものと言えば、ノートパソコンと反射的に答えたくなるのをぐっとこらえて「将来のコネ」と答えるでしょう。
去年の化学オリンピック選抜(僕は落ちましたが)、そして今年の二次試験の合宿、いろいろな仲間と出会いました。そしてそのそれぞれがとても印象的で、よく言えば個性的、悪く言えば「へんな奴」ばっかりでした。しかしやはり化学好きという共通部分があるせいか、気の合う仲間が多かったのも事実です(類は友を呼ぶという言葉もありますが)。それぞれの合宿で、夜の自由時間にカードゲームをし、ふざけあい、馬鹿騒ぎをして、将来の目標や化学について語り合ったのは良い思い出です。もし僕が研究者になれたのなら、どこかでその仲間たちの名前を見かけ、またこのグランプリ中に交換したメールアドレスが役立つときがきっと来るのだろうと、漠然とした確信を持っています。
現代の学問は大部分がそうですが、殊に化学において多くの知り合いがいることはとても重要な意味を持つと思います。なぜなら現代の化学の膨大な知識をすべての分野において身につけることは不可能に近く、やはり異なる得意分野を持つ人々の協力が欠かせないからです。この化学グランプリに集まった人たちは、やはり化学が大好きであるという点で、化学において一番大切な素質を持っているでしょう。将来、何人かは著名な化学者になっているかもしれません。
確かに大学に行き、研究室に入れば同じ目標をもつ人々と知り合うでしょうが、そこには互いの利害が多少なりともかかわってしまいます。高校生と言う早い段階で同じような夢を持つ仲間と出会えると言うのは、とても大きな価値があるように思えます。この化学グランプリには、化学の輪が広がる可能性の種をまいてくれたと言う点においても大きな価値があると思います。将来その芽が出るかは今現在ではわかりませんが、そうなったならとてもすばらしいことでしょう。
この文章を読んでいる高校生の皆さん、ぜひ化学グランプリをうけてみてください。高校の範囲では語れない内容が、丁寧な誘導によって出題されます。確かに難しいですが、考えれば解けるようなヒントがあり、また出題問題には大学の先生方のメッセージがこめられているように思います。そのような問題に触れるだけでも価値はありますし、二次試験やオリンピック候補に選ばれたらそれはそれで儲けものです。そして何より、解けたときにはとても楽しいです。
最後にこの機会を与えてくださった化学グランプリ主催者のみなさんに感謝を述べたいと思います。友達になったみんな、またどこかで再会しましょう!
化学グランプリに参加して
結果発表で大賞に選ばれたと知ったとき、筆記と実験の試験で正直なところそれほどできたとは思ってなかったので、嬉しさよりも驚きを感じました。その驚きが嬉しさに変わったのはその1カ月後表彰式に参加してノートパソコンを手にした瞬間でした。
参加を決めたきっかけはもちろん化学が好きだからです。参加を決めた後はホームページを見て過去問をいくつか解いてみましたが、どの問題も学校の問題集に載っているようなものではなく化学の深いところを探っているように思いました。それらの問題をきっかけにして書籍などで出てきた単語を調べるうちに、高校の範囲を飛び出して知識を得ることが楽しくなってきました。
そうして迎えた一次選抜は熱重量分析法やノット分子などの興味深い話題を扱った問題でした。設問のレベルとしては昨年ほど難しくなかったようで、8割が二次試験に進めるボーダーラインだろうなどと試験後に周りの人が話しているのを聞いて、「白衣はもらえないけど電卓だけでももらえたからいいや」と二次選考のことはあきらめていました。それだけに後日届いた知らせは思いがけなく、大変うれしく思いました。
はじめて東京にやってきての二次選考。試験前に手渡された実験にあたっての注意事項を昼食を食べながら読むと(会場の近くのそば屋に行ったのですが、そばのだしの色が本当に違っていたことに少しショックを受けました)、過マンガン酸イオンが出てきたのでCODの測定だろうなと予想していました。しかし、実際は違ってマンガン乾電池の仕組みを探るというテーマでした。身近にあるものなのにその原理は全く知らなかったのでそれを知ることができたという点でも二次選考に進めてよかったです。
ノーベル物理学賞を受賞された朝永振一郎さんは「ふしぎだと思うこと これが科学の芽です よく観察してたしかめそして考えること これが科学の茎です そして最後になぞがとける これが科学の花です」とおっしゃっています。いま最も興味があるのは創薬化学でこれを将来は勉強しようと思っていますが、この言葉をずっと大切にしていきたいと思います。
今回の受賞の中で最もよかったと思うことは、「科学の種」――科学が好きなこと――を自分がもっていることを改めて感じることができたことでした。
最後になりましたが、化学グランプリの関係者の皆様、二次選考の練習のためにお盆という時期にも関わらず実験を組んでくださった高校のF先生、誘ってくれたH君、応援してくれた方々には心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。