化学グランプリ -High School Chemistry Grand Prix-

2007年・大会概要

一次選考

2007年・全国高校化学グランプリポスター

日時

平成19年7月16日(月)

会場

全国49会場

応募者

2199名

参加者

2009名

問題

問題, 解答用紙, 解説,

二次選考

日時

平成19年8月23日(土)・24日(日)

会場

東京工業大学大岡山キャンパス

参加者

57名

問題

問題, 解答用紙, 解説

表彰式

日時

平成19年9月29日(土)

『第40回国際化学オリンピックハンガリー大会』参加報告会/『第41回国際化学オリンピックイギリス大会』代表候補認定式と併催

会場

日本化学会 化学会館 7階ホール

(東京都千代田区神田駿河台1-5)

講演会

中村 栄一先生「ひとつの有機分子のふるまいを見た!

(東京大学)

報告書

全国高校化学グランプリ2007報告書

全国高校化学グランプリ2007 入賞者一覧(57名)

大賞 7名

2007年度 大賞受賞者
氏名学校名高校県名学年
大賞

田中 成

私立開成高等学校

東京都

3年

大賞

館農 悠紀

石川県立七尾高等学校

石川県

3年

大賞

奥田 貴洋

愛知県立時習館高等学校

愛知県

3年

大賞

山中 一平

大阪府立高津高等学校

大阪府

3年

大賞

小林 佑哉

私立東海高等学校

愛知県

3年

大賞

武田 大典

私立岡山白陵高等学校

岡山県

3年

大賞

吉田 瑛二

私立麻布高等学校

東京都

3年

※2007年から、「優秀賞」が「大賞」に名称変更しました。

金賞 14名

2007年度 金賞受賞者
氏名学校名高校県名学年
金賞

天野 俊太郎

筑波大学附属駒場高等学校

東京都

1年

金賞

松崎 黎

私立市川高等学校

千葉県

3年

金賞

西山 美奈子

私立創価高等学校

東京都

3年

金賞

根本 夏紀

静岡県立清水東高等学校

静岡県

3年

金賞

水野 泰孝

静岡県立磐田南高等学校

静岡県

3年

金賞

越膳 航平

岩手県立盛岡第一高等学校

岩手県

3年

金賞

石神 宥真

私立千里国際学園高等部

大阪府

2年

金賞

後藤 弘樹

愛知県立岡崎高等学校

愛知県

3年

金賞

谷内 稜

神奈川県立多摩高等学校

神奈川県

3年

金賞

堀川 遼太

私立開成高等学校

東京都

3年

金賞

向吉 恵

私立志學館高等部

鹿児島県

3年

金賞

芦田 裕也

石川県立金沢泉丘高等学校

石川県

3年

金賞

佐藤 基

静岡県立清水東高等学校

静岡県

3年

金賞

赤堀 将太郎

私立洛南高等学校

京都府

2年

銀賞 19名

2007年度 銀賞受賞者
氏名学校名高校県名学年
銀賞

川上 剛明

私立創価高等学校

東京都

3年

銀賞

松田 孟留

私立早稲田高等学校

東京都

3年

銀賞

丸山 満久

私立創価高等学校

東京都

3年

銀賞

本山 雄一

私立甲陽学院高等学校

兵庫県

3年

銀賞

小松 尚登

私立開成高等学校

東京都

3年

銀賞

小澤 直也

私立駒場東邦高等学校

東京都

1年

銀賞

堀内 淳矢

山梨県立甲府南高等学校

山梨県

3年

銀賞

曽 弘博

私立開成高等学校

東京都

3年

銀賞

大堀 龍一

私立栄光学園高等学校

神奈川県

3年

銀賞

安本 周平

新居浜工業高等専門学校

愛媛県

3年

銀賞

鈴木 翔

私立創価高等学校

東京都

3年

銀賞

塚田 滉

私立甲陽学院高等学校

兵庫県

1年

銀賞

大城 真太郎

私立昭和薬科大学附属高等学校

沖縄県

3年

銀賞

力宗 真寛

兵庫県立洲本高等学校

兵庫県

3年

銀賞

改田 葉瑠緒

東京工業大学附属科学技術高等学校

東京都

3年

銀賞

西川 哲生

石川県立金沢泉丘高等学校

石川県

3年

銀賞

前田 峻宏

私立大阪星光学院高等学校

大阪府

3年

銀賞

松山 和正

私立広島学院高等学校

広島県

3年

銀賞

野田 芳英

宮城県仙台第一高等学校

宮城県

3年

銅賞 17名

2007年度 銅賞受賞者
氏名学校名高校県名学年
銅賞

冨田 恭平

愛媛県立今治西高等学校

愛媛県

3年

銅賞

田上 兼輔

宮崎県立宮崎北高等学校

宮崎県

3年

銅賞

安川 純平

私立広島学院高等学校

広島県

3年

銅賞

川上 優貴

福井県立藤島高等学校

福井県

3年

銅賞

高木 俊浩

愛知県立一宮高等学校

愛知県

3年

銅賞

綿谷 朋大

私立開成高等学校

東京都

3年

銅賞

加藤 晃太郎

静岡県立浜松西高等学校

静岡県

2年

銅賞

上田 孝弘

石川県立小松高等学校

石川県

3年

銅賞

有馬 悠也

福岡県立嘉穂高等学校

福岡県

3年

銅賞

晴永 祐輔

佐賀県立佐賀西高等学校

佐賀県

3年

銅賞

結城 翼

私立古川学園高等学校

宮城県

3年

銅賞

道本 泰一郎

石川県立小松高等学校

石川県

3年

銅賞

高山 遼太郎

私立創価高等学校

東京都

3年

銅賞

東 星一

私立灘高等学校

兵庫県

2年

銅賞

木村 悠紀

青森県立弘前高等学校

青森県

3年

銅賞

村上 実

大阪府立住吉高等学校

大阪府

3年

銅賞

井川 高輔

岡山県立玉島高等学校

岡山県

3年

全国高校化学グランプリ2007 入賞者の声

3度の高校化学グランプリに参加して

開成高等学校3年 田中 成

一昨年も大賞(当時は優秀賞)の受賞に際して感想を述べさせて頂く機会があった。私と化学の繋がりについては大部分そこで述べてしまったので、まずはそれ以降の、2度のオリンピック等の経験に触れたい。

2度のオリンピックは自分にとって極めて重要な経験になった。少なく見積もっても、エクスカージョン等の交流を通じて様々な人間や文化が世界レベルでは存在しているということを身をもって感じ、試験や準備問題を通じて化学にも様々な考察の方法や実験の手法が存在するということを実際に知ることが出来た、といえるだろう。このことが、私自身のかけがえのない経験として将来役に立つことを期待している。

そのオリンピックに出場するには、グランプリである程度の成績を収める必要がある。一昨年の成績にもかかわらず、昨年は銀賞であった。オリンピック出場がかかっているわけでもなく、また受験を半年後に控えた時期でもあるために、一度オリンピックに出た人間は普通殆どやらないようである「3度目の挑戦」、これをわざわざすることに決めたのは、そこにも理由がある。いわば、リベンジだ。

しかし、単なるリベンジというわけでもない。グランプリでもオリンピック同様、一定時間内に決められた化学の課題をこなすことになる。勿論将来的にもそのような機会は多数あるだろうし、最終的には課題も時間制限もない「研究」をすることになるのだろうとは思う。そうはいっても、このような機会は多いほうがいい。高校生の内に、もう一回そのような機会があってもいいのではないか。そう思い、今年も化学グランプリを受けた。

それだけに、今年も大賞を取れたことはとても嬉しい。今年もグランプリを受けてよかった。大賞のことだけではなく、実験等を通して色々な経験をし、色々な人の話を聞けた、といったことからもそう感じるのである。

私は小学生の時には既に化学が好きだった。同様に化学が好きな生徒は多いと思われる。しかし、その興味を存分に発揮する機会に恵まれない人も、やはり多いのではないだろうか。私は運良くこのグランプリやオリンピックに出会うことが出来たが、もっと多くの人に知ってもらう必要があるだろう。「興味」という最上の才能は、必ずしも既に芽が出ているとは限らない。発芽には水が必要なように、または水素と酸素が水になるには火などが必要であるように、才能の発芽にもやはりきっかけが必要である。この化学グランプリがきっかけとなって、その秘められた才能が発芽するかもしれない。より多くの人が化学グランプリに挑戦して化学に興味を持ってくれれば、幸いの極みである。

「全国高校化学グランプリ2007に参加して」

石川県立七尾高等学校3年 館農 悠紀

今回の化学グランプリで自分が大賞を頂けたこと、非常にうれしく思います。化学グランプリは今年で3度目の参加で、1年生のときは予選落ち、2年生のときは銅賞だったので、「最後の年に優秀賞をとってノートパソコンをゲットしたい!」、と思っていました。しかし、優秀賞が無くなり「優秀賞をとる」という目的は結局達成できなかったわけですが、かわりに大賞を頂くことができ、パソコンも頂けるので、満足しています。

ところで、今年から化学グランプリの2次選考は2日間の合宿形式になったようで。去年参加したときは1日、それも実験と懇親会だけ、という日程だったので、他の参加者と話をする機会はあまりありませんでした。私はその日のうちに帰らなければならなかったため、懇親会にも参加できませんでしたから。今年の2日間の日程では、懇親会にも参加でき、また私の部屋は10人部屋だったこともあって、宿泊場所でも他の参加者との交流の機会がもてました。2日目の講演会では東京大学の中村栄一先生の研究に関する貴重なお話も伺うことができ、本当に充実した合宿だったと思います。段落の最初に「今年から」と書いてはみたものの、実際、私は「今年から」になるのか「今年だけ」になるのか分からないのですが、個人的にはこれからも合宿形式であることを望みます。

化学グランプリに参加し、大賞を頂くような私ですが、実は将来化学に関係のある仕事に就くかどうか、全く分かりません、大いに惹かれるけれど暗中模索なのです。しかし化学グランプリを通して、化学の面白さ・奥深さを知ることができ、全国の高校生と意見交換をすることもできました。化学グランプリを通して関わった友達との会話、努力したこと、面白い現象に出くわしたこと、きっと進路決定の参考になると思います。

最後に、いろんな方に一言。まず、化学グランプリに関してお世話になった先生方や家族、ありがとうございました。グランプリを受けた仲間達、またどこかで会おう。そして後輩達、化学が好きな人、進路について悩んでいる人、全国に友達を作りたい人、国際大会に出場したい人、ノートパソコンが欲しい人、とにかく暇な人。とりあえず化学グランプリに参加してみませんか?参加は無料です。(笑)

全国高校化学グランプリ2007を振り返って

愛知県立時習館高等学校3年 奥田 貴洋

今回、一次選考を通過しただけでなく、大賞までもいただいてしまって、信じられない気持ちでいっぱいです。合宿の夜、ホステルで目覚めて活動を始める夢を見ていたので、大賞受賞者として自分の名前を聞いたときは、まだ長い夢を見ているのだと思ってしまいました。今は「間違いでした」という電話がかかってくるのではないかと心配しています。

全国高校化学グランプリの存在は今年初めて知ったのですが、化学の中間考査の点数が思わしくなかったので受けるのはやめようと思っていました。しかし、友人が「暇だったら化学グランプリ出ない?」と誘ってくれたので、皆で受けるなら、と思って軽い気持ちで参加することにしました。一次選考は「各大問に同じ時間をかける」という方針で臨んだため、試験中は時間をかけないように作業に没頭する他なかったのですが、後で問題を読み返してみると、授業では「これはこうなるものなんだ」という説明だったものが問題文中では丁寧に説明されていて感銘を受けました。

そんな面白い経験もできたし、電卓ももらえたし、と満足していた頃でした――二次選考の案内が届いたのは。まず驚き、次に素直に嬉しく思い、そして心配になりました。というのは、化学実験なんてイベントは自分の生涯で数えるほどしかなく、その上それを一人でやり通したことなど一度もなかったからです。実際、本番で考えていたことは専ら「怪我をしないように」ということでした。実験が無事に終わってはじめて、実際にやったかどうかも疑わしい実験の結果から結論を導き出すのと違って、自分で実験をして考察するというのはとても新鮮で楽しいものだなあ、と思い返す余裕ができたほどです。そんな意識で実験をしていたので、二次選考であんな高得点を得ることができたとは、未だに驚いています。

将来の夢は、エンジニアになることだったのですが、最近、数学や物理にも興味があり、更にこの経験が化学という選択肢を付け加えてくれました。そのためにも、まずは大学受験に向けて勉強しなければならないのですが。

最後に、運営のために尽力してくださった関係者の方々、化学グランプリに誘ってくれたKさん、お盆だというのにわざわざ二次選考の練習に付き合ってくださったJ先生、その他支えてくださった全ての方々、ありがとうございました。それと、この文章を最後まで読んでくださった将来の化学グランプリの挑戦者にも、お礼を兼ねてメッセージを――化学グランプリには、定期試験や模擬試験では経験できない面白さがあります。皆が言うことですが、一次選考に参加するだけでも十分価値があると思います。自分の知らない世界を垣間見るつもりで、ぜひ、頑張ってきてください!

全国高校化学グランプリ2007に参加して

大阪府立高津高等学校3年 山中 一平

今回の化学グランプリで大賞というすばらしい賞をいただけたことは大変嬉しく思います。しかし、発表の瞬間に感じたのは喜びよりもむしろ「まさか」という驚きでした。

私が化学グランプリに参加したきっかけは、学校の化学部の先生に勧められたことでした。元々化学は好きだったので、軽い気持ちで参加を決めました。しかし、一次選考の過去問を見た瞬間には、こんな問題が解けるのか、と思いました。けれども、そんなことを思いつつとりあえず問題を読み進めていくと、全く知らない化学的現象には詳しい説明がついていて、また基本的な知識だけで解ける問題もあり、全然歯が立たないというわけではないと分かりました。そうは言ってもいくら考えても分からない問題もありましたが、全体的に知識を問うのではなくじっくり考えさせる問題だと思います。一次選考の本番ではやはり問題を読んで理解するのに時間がかかり、時間が足りなくなってしまいました。

二次選考では、「ダニエル電池」という化学の教科書にも載っている比較的身近な事柄から出題されたことが意外でした。自分で実験方法を考えて考察をする、という作業を、しかも制限時間内にするということは大変でしたが楽しい経験でもありました。また、二次選考の時点では学校でまだ有機化学をほとんど習っていなかったので、有機化学の問題ではないと分かったときには、心の中で喜びの声を上げました。

今回の化学グランプリの中で特に印象に残っているのは、二次選考での合宿です。合宿の前には、周りの人が全くの初対面で、しかも違う土地から来た人がほとんどなので不安もありました。でも、終わってみれば、そんな色々な人と過ごせたことは、とてもいい経験になったと思います。宿泊先での部屋は一番大きい十人部屋で、さらに全員3年生だったので、受験の話もしました。夜にはトランプで盛り上がり、初対面ではあっても本当に楽しい時間を過ごすことができました。合宿が終わるころには、もう1泊出来たらいいのになあ、と思っているほどでした。

将来の進路については、化学以外にも興味がありまだ迷っているのですが、今回の化学グランプリに参加したことは進路について考える上でもとてもいい刺激になったと思います。後輩の皆さんも、是非この貴重な機会を逃さないで下さい。

最後になりましたが、このような貴重な体験をする機会を与えてくださった大会関係者の方々、そして化学部顧問の先生にお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

全国高校化学グランプリに参加して

東海高校3年 小林 佑哉

夢にまで見た化学グランプリの2次試験。1次試験を通過した証の、勲章のような白衣を着ただけで飛び上がりそうな満足感があった。結果「大賞」を受賞できたのは、この緊張感のおかげだったかも知れない。学校に受賞の報告をした時、先生方の喜びの声に嬉しさが倍増した(感謝)。

実験経験が限りなくゼロに近い僕は、まず何から始めようか…と、暫く立ち竦んでしまった。試験監督さんの定位置が僕の真横という絶好のロケーションで、更に緊張感はピークに達した(途中、廃液溜のビーカーを満タンにしてしまい「もうそろそろ捨ててきて頂戴な」と言われる始末)。深呼吸して、電池というなじみのある(?)題材に気を取り直し、ようやく溶液の調整を開始した(素朴な事ながら、ホールピペットではなく駒込ピペットで量りとるのが結構違和感があり難しかった)。とはいえ、器具の扱いに慣れると実験そのものに集中でき、「わぉ!?水と硫酸ナトリウムじゃ、こんなに違うのか!!」などと、自分のデータを疑いたくなるようなたくさんの不思議な発見があり楽しかった。化学の本質に近づけた気分(?)になれた。納得のいかないデータに対してはとことんやり直しをし、追加試薬を頂戴するなど、真横の試験監督さんには結局すっかりお世話になった。実験をやり終えた充足感からか、気が付くと4時間があっという間だった。

そして、実験後の合宿!!とかく僕はイベントが大好きで、友達作って、お食事をして、夜を満喫するのだ~、と東京に行く前から楽しみにしていた。実際、ホテルでもお互いに刺激を受けながら過ごすことができ、最後はトランプに花を咲かせていた(その途中でも化学の話に夢中になったりするところが、さすが化学グランプリだったが)。夜11時に本当に部屋の電気が落とされてしまった時、夜遅くまでベッドの枕下灯に頼って頑張り続けていたのは僕たちの部屋だけであっただろうか(笑)。

2日目は中村先生の大変興味深い講演があった。これから論文にするという最新のテーマだそうで、今化学の最先端にいるんや~と思うとプチ化学者気分であった。余談だが中村先生のフルートが大好きだと言う言葉に、ピアノが大好きな僕はちょっと親近感がわき緊張がほぐれた。

将来はのんびりと研究ができたらなぁ、と思っている(まずはそのために受験があるのかぁ…大変だ(笑))。今回実際に実験をして、ますますその気持ちが固まった。集中した姿勢で一つのことに取り組むという作業そのものがプラスになったと思う。

化学グランプリの皆様、ありがとうございました。

全国高校化学グランプリ2007に参加して

岡山白陵高等学校3年 武田 大典

この度初参加にもかかわらず、大賞というすばらしい賞をいただき、本当に嬉しく思っています。一次試験では、熱エネルギーの問題とラジカルの問題が難しくて、二次に行けたら奇跡だな、と思っていました。しかし運良く二次に進むことができて、一次と違って楽しく試験に向かうことができ、その結果が『大賞』だなんて夢のようです。高校生活最後の思い出に最高のプレゼントをいただき、大変感激しています。

化学グランプリを知ったのは去年の12月頃、先生が声を掛けてくださったからで、全国の高校生の中で化学の力が試せるのなら、と思い参加を決意しました。対策として過去問をやっていくうちに、方対数グラフやモル伝導率など、高校の教科書レベルでは出てこない用語が出てきて一瞬怯みました。しかし問題の説明が丁寧だったため、解らないと投げ出すことなく問題に向き合うことができました。

二次ではダニエル電池の起電力についての考察を問われたのですが、起電力がなくなるためにはイオンの濃度差が大きくなければいけない(十の何十乗単位)との答えになり、電池の反応は鋭敏だとかなり驚きました。また実験中に、純水が何度も足らなくなったり、水溶液の調製に何度も失敗したり…。グランプリが終わった今となっては、すべてがいい思い出です。

僕は『目標を達成できるだけの学力をつけるように!』と教えられ、将来どんな分野に進もうかと以前からいろいろと考えていました。化学だけでなく科学全般が好きで、将来は研究者になりたいと考えていたので、その第一歩として化学グランプリに出会い、参加できたことは進路を決めるうえでプラスになったと思います。次は大学でいろいろな分野を広く学び、第二歩、三歩そして目標の達成に向けて頑張ります。

これから化学グランプリに出ようと考えている皆さんへ。化学グランプリは知識量を問う大会ではありません。問題にはきちんと説明がついているので、よく読んで化学的に思考していけば必ず解けるようになっていると思います。化学が好きなら恐れず参加してみてください。

最後に、このような素晴らしい機会を与えてくださった日本化学会をはじめとする関係者の皆様に感謝申し上げます。また学校でいろいろとご指導くださった先生方、ありがとうございました。

全国高校化学グランプリ2007に参加して

麻布高等学校3年 吉田 瑛二

優秀賞改め大賞、フランス語でグランプリ。大会名そのままのマーベラスな賞を頂き、ジュラルミンが金になったくらい(Al + Cu → Au + Cl)の驚きと喜びで沸いています。そして、参加者大幅増の2000人の中から大賞に選ばれたことを誇りに思います。

化学グランプリは今年から合宿形式ということで、単なる学力コンテストにとどまらない充実したものでした。全国から集まった同好の士と長い懇親の時間が持てましたし、中村教授による有機分子の直接観察の講演は非常に有意義でした。しかし、講演の中で意外に印象的だったのは「予算が出れば顕微鏡を改造できるのですが」という冗談交じりの言葉、研究者として避けられそうにない研究費の問題です。世界に注目される大きな成果を挙げた研究者でも、全て思い通りに研究ができる訳ではないということに、将来への漠然とした不安を覚えます。

問題に関して、一次選考ではトロピノンの全合成が一番面白かったと思います。この複雑な化合物を高収率で得る手順は鮮やかという他ありません。有機合成の研究は活発で、タキソールという更に複雑な分子やナノプシャンという人型分子も作られているようです。試験問題は高校化学で触れることのない分野ばかりですが、問題文と手持ちの知識で考えながら解け、新たに化学の面白さを実感しました。

二次選考では高校化学お馴染みのダニエル電池を題材とした問題が課されました。実験操作自体は大して手間の要らない簡単なものでしたが、難しいのはデータの考察、そしてそれを基にした試料濃度の決定です。出題の意図が明確で、よく考えさせる化学グランプリらしい内容だったと思います。

進路ですが、化学か物理、あるいは化学っぽい生物のどれかには関わりたいと考えています。また、基礎科学よりも応用科学に魅力を感じているので、何かしら社会に直接役に立つものを創れれば、と思います。具体的に今注目しているのは、化学分野ではカーボンナノチューブ、物理分野では宇宙太陽光発電、生物分野では神経工学、といったところでしょうか。まだSFっぽい感じもしますが、21世紀中には実用化されるはずです。まさに夢・化学-21と言って良いでしょう。

さて、化学グランプリを始めとした科学技術コンテストは近年その重要性が認識され、行政からの支援も拡大し、知名度も大幅に上がってきています。また、2010年には化学オリンピックの日本での開催が決定しています。この機会を活かして、主役である高校生が更に多く参加し、受験化学ではない化学本来の面白みを体験してもらえることを願っています。動機は電卓でもノートパソコンでも何でもいいので、是非チャレンジして下さい。

最後に、このような機会を与えて下さった関係者の方々に感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございました。

主催:
「夢・化学-21」委員会, 公益社団法人日本化学会
共催:
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST), 高等学校文化連盟全国自然科学専門部, 秋田大学(※二次選考), 日本化学会各支部、他
後援:
文部科学省、経済産業省、他
協賛:
株式会社大塚製薬工場, アルフレッサファインケミカル株式会社, 三洋化成工業株式会社, 東北化学薬品株式会社, DOWAホールディングス株式会社