化学グランプリ -High School Chemistry Grand Prix-

2003年・大会概要

一次選考

日時

平成15年7月19日(土)

会場

全国23会場

応募者

1268名

参加者

1138名

問題

問題, 解説,

二次選考

日時

平成15年8月23(土)

会場

東京大学駒場キャンパス

参加者

60名

問題

問題, 資料, 解説

表彰式

日時

平成15年11月16日(土)

会場

日本化学会 化学会館 7階ホール

記念講演

藤嶋 昭先生(神奈川科学技術アカデミー)

報告書

全国高校化学グランプリ2003報告書

全国高校化学グランプリ2003 入賞者一覧(57名)

★:オリンピック代表候補

優秀賞

優秀賞
氏名学校名学年
石山 備凡

私立東海高等学校

3年

井村 祐己

私立大阪星光学院高等学校

3年

小椋 章弘

国立筑波大学附属駒場高等学校

3年

北川 拓也

私立灘高等学校

3年

佐藤 一樹

国立筑波大学付属駒場高等学校

3年

金賞

金賞
氏名学校名学年
荒木 康史

私立栄光学園高等学校

3年

上野 功一

私立創価高等学校

3年

小山 貴広★

私立栄光学園高等学校

2年

上條 諭志

私立開成学園高等学校

3年

甲田 信一

私立創価高等学校

3年

斉藤 可奈

私立秀光中等教育学校

3年

櫻木 健司

県立熊本高等学校

3年

田中 真吾

私立開成学園高等学校

3年

中村 修平

国立東京学芸大学教育学部附属高等学校

3年

日比野 世光

私立渋谷幕張高等学校

3年

廣瀬 俊典

私立岩田高等学校

3年

松田 淳

私立東海高等学校

3年

山崎 啓吾

私立駒場東邦高等学校

3年

山下 忠紘

私立駒場東邦高等学校

3年

吉田 隆宏

県立宮崎西高等学校

3年

銀賞

銀賞
氏名学校名学年
荒木 聡

府立嵯峨野高等学校

3年

今中 政輝

私立広島学院高等学校

3年

大川 新之介

国立東京学芸大学教育学部附属高等学校

3年

川崎 瑛生★

私立武蔵高等学校

1年

神戸 徹也★

私立白陵高等学校

2年

木原 啓一郎

私立栄光学園高等学校

3年

日下 心平

私立駒場東邦高等学校

3年

近藤 洋平

県立佐賀西高等学校

3年

杉山 太香典

県立大田原高等学校

3年

羽賀 崇史

私立創価高等学校

3年

藤田 寛奈

私立白陵高等学校

3年

増田 光一郎★

県立福岡高等学校

2年

松本 慎司

私立白陵高等学校

3年

真鍋 毅史

県立今治西高等学校

3年

横田 知之

私立開成学園高等学校

3年

銅賞

銅賞
氏名学校名学年
磯崎 政秀

県立宮崎西高等学校

3年

植松 哲也

国立東京学芸大学教育学部附属高等学校

3年

江本 憲央

私立白陵高等学校

3年

遠藤 邦幸

私立東海高等学校

3年

久下 康太朗

私立白陵高等学校

3年

小坂 篤志

県立七尾高等学校

3年

木場 悠介

私立志學館高等学校

3年

佐伯 昌紀

私立古川学園高等学校

3年

柴田 慶詩郎

道立旭川東高等学校

2年

清水 信哉

私立灘高等学校

1年

杉谷 浩平

道立札幌北高等学校

3年

玉城 吉洋

私立昭和薬科大学附属高等学校

3年

寺本 真三

私立大阪星光学院高等学校

3年

中山 博文

私立開成学園高等学校

3年

野村 篤朗

国立東京学芸大学教育学部附属高等学校

3年

藤田 健人

私立白陵高等学校

2年

藤原 孝志

私立白陵高等学校

3年

山下 実咲

私立志學館高等学校

3年

山本 健太郎

私立東海高等学校

3年

吉川 高志

県立一宮高等学校

3年

敢闘賞

敢闘賞
氏名学校名学年
飯田 将元

私立巣鴨高等学校

2年

金澤 直也

私立開成学園高等学校

2年

林 賢太郎

県立上溝高等学校

2年

本山 裕一

私立栄光学園高等学校

2年

諸原 理

県立今治西高等学校

2年

全国高校化学グランプリ2003 入賞者一覧

ひょんなことから参加した全国高校化学グランプリ2003

東海高校3年 石山 備凡

この度、高校化学グランプリに参加して、運良く優秀賞をとることが出来ました。もとはといえば、担任の先生が化学担当で、「クラスから誰かでろ!」といわれて、しょうがなく参加したものだったのですが、こんなすばらしい賞を取れたので素直にうれしいです。これといって自分は化学に特別な感情があるわけでもなく、学校でもほとんど実験などもやったこともなかったので、何とか2次試験に進んで実験でもやれればいいなぁ、と思って気楽に参加した1次試験。過去問を見ていて、これは取れるわけないなぁと思っていたのですが、実際に問題を見たら思ったより簡単で、試験が終わったときには、これは間違いなく東大に実験しにいけるな、と確信していました。2次試験には母校東海高校より4名の参加となり、ほかの人よりは、周りに知り合いがいたので東大をゆっくり満喫しつつ緊張することもあまりなく2次試験に臨みました。ただ、実験に関する事前説明を聞いたとき愕然としました。なぜなら問題が有機化学。自分の持っていた有機の知識は頭の片隅のポケットにしまってあった炭化水素の初歩中の初歩のみ。終わった…というか実験に入ることさえ出来るのだろうか?といった不安しかありませんでした。しかし、一人で実験をどうやって進めていけばいいのか、などと考えて作業していくのはとても面白くて、化学への興味もかなり深まりました。ただし実験結果としては今でも納得のいくものでなく、有機もまったくわかんないし実験結果もおかしいし、これは2次参加中最下位だな、という気持ちしかなく、ホームページを見て優秀賞と知ったときは何かの間違いだろ!としか思えませんでした。自分は大学に入って何を選考していくのかはまだ漠然としているのですが、この大会に参加して化学にかかわっていくのも面白いかな、という新しい選択肢が生まれました。去年も先輩が一人優秀賞をもらっており、これからも母校から毎年取りつづけてもらえるとうれしいです。それだけでなく、全国各地の高校から、化学への興味を持っている人、そうではない人を含めてもっとこの大会の存在を知り、この大会を通じて自分のように"化学好きになった!"という人がどんどん生まれていってもらえるようになればうれしいです。

全国高校化学グランプリに参加して

大阪星光学院高等学校3年 井村 祐己

私にとっては二度目となる全国高校化学グランプリでした。昨年は先生に勧められて力試しのつもりで参加しましたが、思いがけず金賞をいただくことができ、いわゆる無欲の勝利となりました。今年は欲をだして『よし、優秀賞を狙うぞ』と言う気持ちで参加しましたが、実際に通知が届いて優秀賞という文字を見つけた時は、思わず『やった』と叫んでしまいました。昨年の一次試験は、難易度が高かったので今年も覚悟して臨んだのですが、予想に反して比較的簡単でした。そのため、これはほぼ満点を取らないと上位には入れないと思い、取りこぼしのないように気を付けました。一次試験に合格し、二次試験は反応に時間がかかる有機化学は出ないだろうと考えていたのですが、見事に予想が外れてしまいました。このように今回の試験は波乱の連続でしたが、自分なりにベストを尽くせたのが好結果につながったと思います。

化学グランプリの面白さは、受験用の詰め込みの知識を競うのではなく、考えさせる問題に挑戦することにあると思います。たしかに、二次試験で出題された薄層クロマトグラフィーなどを用いた課題は授業では経験したことのないものでしたが、試験前の説明を聞いて授業で習った知識を基に理解することができました。そのおかげで、初めて経験する問題も半ば楽しみながら解くことができました。実験の進め方や考え方が少しわかったような気がしています。2回の参加を通じて、化学の面白さは基礎になる知識を用いて未知の課題を解きほぐしていくところにあるということがわかりました。後輩の皆さんも化学グランプリに参加して化学の面白さを是非体験して下さい。少し難しいですが、低学年から参加して経験をつむ方が楽しさも大きいと思います。私自身、今までは単に憧れだけで漠然と大学では理工学系の研究室に入りたいと考えていましたが、化学グランプリで化学の面白さを経験して実験の面白さが実感としてわかり、その気持ちは益々強くなっています。ちょっと大袈裟かもしれませんが、ノーベル賞を受賞された田中さんや小柴さんが、自分の仕事が面白いと言っておられた気持ちが少しわかったような気がします。

力試しのつもり、いわば受験勉強の延長で参加したというのが正直なところですが、化学グランプリに参加して化学の本当の面白さを味わう事ができました。この経験を将来に活かしていきたいと考えています。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

全国高校化学グランプリ2003に参加して

筑波大学附属駒場高等学校3年 小椋 章弘

今回化学グランプリに参加でき、さらに優秀賞をいただけて大変嬉しく思っています。今回化学グランプリに参加でき、さらに優秀賞をいただけて大変嬉しく思っています。

さて、今回僕がこの大会に参加した最大の動機は、将来に対する不安、大学に入るとして何をすれば良いのか決まらない、という焦りでした。

勉強は決して嫌いではないのですが、一つの学問に打ち込んでそれで一生の生計を立てていくことが出来るのか。その前にどの学問を選べば良いのか。まったく分からない。僕は化学という教科はまあ得意な方でしたが、それで将来食べていけるのかといわれると返事に困るという状況でした。高校で学ぶ化学とかいわゆる受験化学とかと大学以降の化学に隔たりがあるということをよく耳にしていたのもその理由の一つです。

そのときこの大会の話を耳にしました。高校の化学にとらわれない、ということだったので、今まで学んできた自分の化学がどれだけ役に立つのか、自分が化学をやるとしてどの程度の力があるのかを試そうと思い、応募しました。

一次試験が終わり、通知がきました。素直に喜んだのも束の間、あるものはただ不安ばかり。筆記ならまだしも実験なんてまして自信がない。僕は学校で化学部に入っているわけでもないので、実験器具の操作には決して慣れているとはいえませんでした。そこで僕は、二次試験には参加することに意義がある、と自分に言い聞かせて、試験場では手を動かす前に頭を動かそう、と思い、問題を何度も読み返して実験の全体像を頭に叩き込んでから実験を始めました。案の定何度も失敗を繰り返しましたが、何とかデータを取ってレポートにまとめました。結果実験で予想以上の高得点をとることができました。

あとから考えてみると、こうした実験やレポートを書くことについても、学校で今まで学んできたり、視野を広げようとすすんで講演会などに出席したりしたことが、決して無駄ではなかったことが分かりました。化学グランプリに参加したことで、僕はいままでやってきたことや自分の将来に対して自信を与えられたような気がします。将来についても方向性が見えてきました。

恐らくは僕が抱えていたのと同じ悩みを抱えている人がいると思います。そうした人にはこのような絶好の機会を是非利用して欲しいと思います。

最後に。僕は化学グランプリに参加して本当に良かったと思います。学校の先生方、化学グランプリの関係者の方々、そしてグランプリで触れ合うことの出来た全国のみなさんに心よりお礼を申し上げたいと思います。

全国高校化学グランプリ2003に参加して

灘高等学校 北川 拓也

今年は国際化学オリンピックに日本が初めて出場した年、ということで、委員会の教授、先生方も力が入っていらっしゃったことだろうと思います。賞をもらったことは僕の化学に対する好奇心が評価された、ということで、非常に喜ばしく思います。

グランプリ自体は国際化学オリンピックの問題と比較すれば分かるように、それほど難しいものではなかったように思います。一次試験である筆記はこれから年を経て、出場者が増えるにつれ、難易度を上げることになるでしょう。二次試験は実験ということで、僕はとても楽しませていただきました。実験で得られた結果を色んな角度から考察することはとても楽しく、これこそ化学の真骨頂でしょう。

結果的に僕を含め、五人の方が優秀賞を受賞することとなりましたが、全国には優秀な人たちがもっとたくさんいると確信しています。こういった大会に参加することの意義は、優秀な人たちと知り合い、お互いに刺激を与えてやる気を出すことにあると思います。来年からは化学が好きで得意な人が一人残らず参加してくれたら、とても面白いことになる、と期待しています。

これから僕は大学に入学し、直接研究を視野に入れて勉強していくわけですが、分野の細分化がさらに進んだ現代においては、何を学ぶか、ということを特定せざるをえません。こんなことをいったら怒られそうですが、実際には僕は物理の方をより真剣に勉強しています。ただ理論化学は量子化学をはじめとする物理化学を中心としているようですので、将来的に、化学を専攻することもあると思います。何より、実験の楽しさはどうも捨て難いですね。Interdisciplinary(多岐にわたった、いくつもの分野にわたっている)、という単語は一種の流行のようになっていますが、まさにそういう形で学問を学んでいけたら理想的だと思っています。

このような大会に参加する機会を与えてくださったことに、委員会の方々に感謝を申し上げたいと思います。

全国高校化学グランプリ2003に参加して

筑波大学附属駒場高校3年 佐藤 一樹

今年僕は全国高校化学グランプリに参加し、優秀賞をいただいたが、特に二次選考の後は正直優秀賞をとれるとは夢想だにしていなかった。その二次選考ではレポートを仕上るのに時間が足りず、最後の方は論理的かどころか文章になっていたかどうかも危ういし、それを見直す時間もなかった。問題自体もわれわれ高校生からすると目新しく、一時間で考察するのは難しかった。とてもではないが優秀賞に届く状態でなかったので、結果をインターネットで見たときはパソコンが故障したかと思ったくらいだった。そんなこんなで手ごたえはなかったが、あまのじゃくな僕は逆に化学がより面白くなった。たった一回の実験ではあったが、やはり化学は「深い」学問だということが感じられたからである。過去の実験の問題を見ると無機化学の定量実験が多かったようであるが、今回のように目新しい有機化学の実験をし、その結果から理由を考察する、という形式は非常に面白かったし、今後につながるものでもあったと思う。来年以降このグランプリには出場できないが、是非こうした実験を続けていただきたいと思う。

将来に関してはやはり化学に携わる進路をとりたいと思う。現段階では有機化学に興味があるが、まだまだ化学を学び始めたばかりであり、その本当の「深さ」を未だ体験していない。さらに自分自身理学的な化学と工学的な化学のどちらに興味があるかすらも分かっていない状態なので、具体的なことは決めていない。しかし今後化学を学び、その「深さ」にふれていきたいということに変わりはない。

最後に、今回化学グランプリに出場して非常に有意義であったと思う。あと、今後国際化学オリンピックに出場する方達には是非頑張ってもらいたいと思う。

主催:
「夢・化学-21」委員会, 公益社団法人日本化学会
共催:
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST), 高等学校文化連盟全国自然科学専門部, 秋田大学(※二次選考), 日本化学会各支部、他
後援:
文部科学省、経済産業省、他
協賛:
株式会社大塚製薬工場, アルフレッサファインケミカル株式会社, 三洋化成工業株式会社, 東北化学薬品株式会社, DOWAホールディングス株式会社